コラム1
よもやこんなことに【前編】
2009.09.28
とある老夫婦のお話です。定年直後の夫にガンが見つかり摘出手術を受けました。
その後、再発はしたものの5歳年下の妻の献身的看護と放射線治療が功を奏し、70歳の頃にはガンのことはすっかり忘れかけていました。そんなある時、夫は、ふと考えました。「自分たちには子どももいないし、もし自分に万一のことがあったら妻はどうなるのだろう。」、「今の内に自宅や預金等全てを妻に贈与しておこう。そうすれが後で兄弟とももめなくてすむし」・・・さっそく夫は妻にそのことを話し、善は急げとばかりに手続を進めてしまいました。
ところが、数年後、妻に物忘れの症状が出るようになった頃、妻が親しくしていた知人とあちこち外出するようになり心配していたのですが、妻の認知症が進み、今では夫のことも誰だかわからないようになってしまいました。そんなある日、夫は、数年前に妻が知人とともに公正人役場に出向き「全ての財産を宗教法人○○に遺贈します」という遺言書を作っているらしいということを耳にしたのです。妻に確かめようとしても、どうすることもできません。夫は途方に暮れてしまいました。・・・・・
つづきは次で