コラム20

離婚を考えたときのために【第4回】

2013.12.02

離婚すると子どものためにならないから私が我慢するしかないと考える人は多いと思います。確かに、母子家庭になってしまって生活が苦しくなったという話を聞くことがありますが、それが子どもにとって不幸なことなのかとは、また別の問題ではないかと思います。日々、両親の激しい口論や、冷えきった雰囲気の中、きっと子どもたちは息を殺して生活しているはずですし、お父さんとお母さんはもうだめかもしれない、離婚になったら自分は誰と、どこで暮らすことになるのだろうかと、絶えず不安を感じ、強いストレスにさらされているはずです。

そのような中で、子どもたちが健全に成長し、発達するとは思えません。だからといって、子どもたちに、「お父さんとお母さん、離婚した方がいいと思う?」と聞いたり、「お父さんと離婚したら、どっちと一緒に暮らしたい?」等と、いかにも子どもの意思を尊重しているかの態度をとっているように振る舞ったりすることが、どれだけ子どもたちを傷つけることになるのか容易に想像できます。子どもたちの本当の気持ちは、両親が仲良くなって、離婚する等と言い出さないことが一番いいことに決まっていて、「そんなこと聞かないで!」というところでしょうか。

思うのですが、このようなとき親としてなすべきことは、なぜ離婚しなければならなくなったのかをちゃんと説明し、これから先、どちらと一緒に生活することになるのか、一緒に暮らさなくなった親とどのように接したらよいのか、離婚したら生活環境がどう変わるのか等を分かるように説明することです。たとえ子どもが小さくても、「お父さんとお母さんは仲直りできなくなったので別々に暮らすことにしたのよ。でも、二人がお父さん、お母さんであることは変わらないし、お父さんもお母さんも○○ちゃんのことが大好きだよ。」等と子どもが理解できるように説明してあげることが大切だし、子どもの前で離婚した相手の悪口を言わず、いつでも子どもが会える環境を整えることを忘れてはいけません。

離婚した後は、別れて暮らす親を失った喪失感や急変する生活環境への不安に悩まされたり、寂しさや孤独感のために、いじめや哀れみの対象になったりすることもありうるので、子どもたちに対しては、「お父さんとお母さんは、もう仲良くなれないけど、お父さんと会いたくなったら、いつでも会ってきていいし、会えるように話してあげるから安心して。」等と不安感を取り除くことが大切だと思います。

しかし、残念なことに多くの離婚場面で目にすることは、親権を巡って親たちが争い、離婚したら別れて暮らす親に決して会わそうとしない親の傲慢な姿です。このような態度は、子どもを自分の所有物であると誤解しているのが原因でしょう。そのような態度は、きっと子どもが成長する過程や、大きくなったときにしっぺ返しをくらうことになるはずです。

【4回シリーズ(毎月1日頃掲載)】