社協茶論Shakyo Salon
「信用の蓄積」が紡ぐ、誰もが安心して集える街の居場所(R8.3.27)
自身の経験から生まれた「徹底した安心設計」と、本会への寄付を通じて築いた「確かな信頼」を糧に、4,000人を超える参加者の心をつかんでいます。
おしゃべりから始まる、新しい地域貢献の形を伺いました。
●安心を届けるためのルール作りと、信用を資産に変える寄付の原点
――― 「北九州小倉カフェ会」を作ったきっかけについて
上村氏が「居場所」づくりへと大きく舵を切った背景には、人生の大きな転換点がありました。2017年、当時手がけていたネット広告事業が外部環境の変化により収益が激減。人と会うのが怖くて「外の世界に出る怖さ」を抱えながらも、勇気を振り絞って参加した交流会で不適切な勧誘を受けた経験が、「人見知りでも、どんな立場の人でも、安心して参加できる場所を自ら作ろう」という原動力になりました。
2018年に始まったカフェ会は、3〜4人ごとにグループ分けした少人数制で、交代しながら会話していきます。この体制について上村氏は、「色々試してみて4人がベストだった。人見知りの人や人に会うのが怖いという人でもこの人数だと喋ることができるのです」と。また、ファミリーレストランなどの開かれた場で開催することで、瞬く間に支持を広げました。活動が軌道に乗る中、2020年5月から本会への寄付を開始したのには、上村氏独自の「信用の蓄積」という考え方がありました。 「短期的な収益を追うよりも、地域での信用の蓄積を最優先したい」と語る上村氏は、本会からの感謝状を「安心感の証」として大切にされています。本会からの感謝状を掲げることで、不適切な目的の参加者を自然に抑止し、健全な市民が安心して集まれる環境を構築したのです。「大人がおしゃべりを楽しんだ参加費の一部が、地域の子ども食堂で提供される温かい食事や居場所作りに役立てられる」。この透明性の高い寄付の仕組みは、参加者にとって「自分の楽しみが誰かの役に立っている」という誇りとなり、コミュニティを支える確かな基盤となっています。
●「ヒトガラ」を可視化し、地域に広げる善意の循環
――― 現在、力を入れている活動と、今後の展開について
現在、上村氏はカフェ会で培った経験を活かし、地域の事業者支援も手掛けています。きっかけは、コロナ禍でカフェ会の活動が制限される中、同様に集客に苦しむ店主たちの現状を直視したことでした。「価格の安さやクーポンだけでお客様を呼ぶのではなく、店主の『想い』や『物語』を伝えることで、長く通い続けたくなる信頼関係を地域に育みたい」。そんな願いから、事業者の「人となり」を伝えるメディア「ヒトガラSTYLE」を立ち上げました。
「この人なら安心して相談できる」という深い関係性を地域に増やすこの試みは、現在掲載者が80人以上になるまでに広がっています。今後はこのモデルを300事業者まで拡大し、さらに北九州周辺のみならず福岡県内全域への展開も視野に入れています。
上村氏の自然体な運営手腕は、日常の「おしゃべり」が地域を支える力に変わる、新しい福祉のあり方を私たちに示しています。
参照)
北九州小倉カフェ会(北九州での友達作り・交流の場)
ホームページ https://kitakyushu-cafekai.net/
ヒトガラSTYLE (経営者・個人事業主の「想い」を届けるメディア)
ホームページ https://hitogara-style.net/

