コラム10
行き過ぎた個人情報保護【第四回】
2010.02.18
このところ、ご近所との付き合いもなく、人知れず亡くなる高齢者が増えています。そればかりか若者や中高年の孤立死が社会問題となっています。もちろんこの中には人知れず死にたいと思っていた人や他人の関わりを心から拒否したいと考えていた人もいたかもしれません。人の尊厳って何だろうと考えさせられてしまいます。
今回のテーマは、地域や福祉関係者が、普通に考えて支援が必要なのにその存在を知られていないために支援が受けれてていない人の存在をどのようにして把握することができるかという問題です。
民生委員さんや福祉協力員さんが地域に住んでいる独居高齢者の情報を得ようとして区役所に情報提供を求めても個人情報保護法が壁になって教えてもらうことはできないでしょう。町内会や隣組が機能しなくなっている町内や、機能していても参加しようとしない家庭が増えるている現状で、足で稼ごうとしてもオートロックを始めとしたセキュリティーが厳しいマンションが増える中、玄関先まで行き着くことすらできないという話を耳にします。かといって隣組制度を復活させるわけにもいかず、どのように解決したらよいか頭を抱えている関係者も多いことでしょう。
ちょっと脱線しますが、隣組制度は江戸時代から存在したようですが、第2次大戦前には部落会町内会等整備要領という内務省訓令を根拠に整備され、結果的には当時でいう反社会的思想家たちを密告する制度につながったという暗い歴史があるのです。現在の町内会や隣組は、ご近所の連絡網というところに存在意義があるというところでしょうか。この前、札幌に行ってきましたが、郊外ではこの町内会が機能していました。町内会ではいろいろな当番制があったり、町内会長さんの家には旗が立っていて一目で判ったりで驚きでした。
つづく・・・