コラム13

行き過ぎた個人情報保護【第七回】

2010.03.23

個人情報保護法が基本とする「自分に関する情報は自らがコントロールする」権利とはどういうことをいうのでしょう。

まず思いつくことは、勝手に私の情報を集めさせないということでしょう。これが前回お話しした個人情報の取得の問題で、「私に関する情報は私から入手して下さい。」「私に関する情報を入手するなら、その利用目的を明らかにして下さいということになります。

次に、私の情報を持っている人にその情報を大切に保管・管理することを求めること、集めた目的以外にその情報を使わせないこと、勝手に他の人にその情報を提供させないこと等が思い浮かぶのではないでしょうか。
もちろん私の個人情報を持っている人に手持ち情報を開示するように求めることや誤った情報であればその訂正を求めることも重要なことです。

ところで、福祉に関する仕事をしているとき、自分が関わった高齢者や障がいのある人たちに関する個人情報をどのような時に、誰に、どのようにして提供したらよいか(提供することができるのか)ということで悩むことあると思います。
これを提供される側からみると裏返しの問題で、関わろうとする高齢者や障がいのある人たちに関する個人情報をどのような時、誰から、どのようにして取得したらよいかということになります。
しかも更なる問題は、支援を必要とするひと本人は自分に関する情報を自らではコントロールすることができなくなっていることが多いことや、何らかの精神上の問題等で支援する人の関わりを頑なに拒否し、本人からの情報収集ができないことです。このため、このような人を支援しようとする場合にどうしても本人以外の人からの情報収集、本人以外の人への情報提供が必要となってきてしまうのです。本人の同意が得られないからといって支援しないわけにはいかないのですから、この問題は避けては通れない問題なのです。
そのような意味で福祉関係に携わる人は、どのよう場合に本人の同意なく個人情報を取得できるのか、また、第三者に提供することができるのかについて基本的なところを理解しておく必要がありますし、その理解がなければ形式的な理由で情報提供を拒む行政や医療機関・福祉施設の関係者を説得することはできないでしょう。

重要なことは本人以外の人(行政機関や医療機関・福祉関係者等)に支援を必要としている人に関わる情報を第三者提供してもらうための説得方法を身につけるということでしょう。