コラム8
行き過ぎた個人情報保護【第二回】
2010.02.12
個人情報保護法でいう「個人情報」とは、いったいどういう情報を言うのでしょうか。
区役所の市民課に行って「小倉北区に鈴木一郎さん居ますか」と尋ねたところ、職員が「居ますよ」と答えたからといって個人情報保護法違反にはならないでしょう。ところが、職員が「小倉北区千代田1丁目1番1号に住んでいますよ。」と答えた場合はどうでしょう。もちろん小倉北区に千代田1丁目という住所はありませんが、もし存在した場合、これを個人情報ではないと思う人はいないのではないかと思います。ここでのキーワードは、ある個人を特定できる情報かどうかということで、個人の識別情報といいます。
では、小倉北区千代田1丁目1番近くで、通りがかりのおばちゃんに「この近くに鈴木一郎さん居ますか」と尋ねたところ、おばちゃんが指さして「あそこの1丁目1番1号と書いてある家に居るよ」と答えた場合、このおばちゃんが個人情報保護法に違反したと思う人もいないでしょう。ここでのキーワードは、個人情報を取り扱う人の問題です。近所のおばちゃんは、行政機関の職員でもないし個人情報取扱事業者でもないので対象外ということです。個人情報取扱事業者とは多くの個人情報を取り扱っている事業者で、具体的には法令で細かく要件が定められていますが、取り扱っている個人情報を大切に保管・管理することを義務づけられても仕方がないような団体や個人のことを指していると思ってください。
ということは、区役所の職員が区内の独居高齢者の住所、氏名を福祉目的だからといって福祉関係者に情報提供することは許されないことになりそうですし、病院の職員が「JRの事故にあった鈴木一郎さんは集中治療室で治療中です」と答えることも「う~ん?」やっぱり黒かも・・・・それって、どうなの。