コラム9
行き過ぎた個人情報保護【第三回】
2010.02.15
私が通院している病院では採血をする際に番号札を配り、順番がくると「番号札○番をお持ちの方」と呼ばれるようになりました。以前は、「かわはらさん、かわはらかずまささん」と呼ばれていたのですが・・・これも個人情報保護法が施行された影響でしょう。確かに以前はフルネームで呼ばれることに少し抵抗がありましたが、診察にきている患者に順番を知らせるため名前を呼ぶことは仕方ないことですし、個人情報保護法違反とまでいう必要もないでしょう。ここでのキーワードは個人情報の第三者提供と本人の同意いうことです。
個人情報保護法が目指すものは自分の個人情報は自らがコントロールできるようにすることです。だとすると本人が名前を呼ばれることに同意しているような場合には特に問題はないし、名前を呼ぶ看護師さんにしてみても私の名前を他の人に提供しようという意図もないはずです。ところで、番号札の話で思わず笑ってしまったことがあります。ある時、採血担当の看護師さんが「番号札○番をお持ちのかわはらさん、かわはらかずまささん」と呼ぶのです。何のための番号札なのか解っていない人もいるんですね。
ということで、前回の病院での安否確認問題について考えてみることにしましょう。
病院として最善の方法は、担ぎ込まれた患者さんにどのような人たちに安否情報を提供して良いか確認し、本人の希望に従うことでしょうが、患者さんに意識がない場合や、ごった返していて本人に確認する余裕もないような場合、安否確認に応じないという紋切り型態度ではなく、情報提供を求めている人と本人との関係を確認したうえで最小限の情報(病院にいるか否か、重軽傷の別等)を提供するといった対応が適切だと思います。結局は、この人に対してだったら、この程度の情報だったら情報提供することに本人が同意するだろうと思えるかどうかが分かれ目になるのでしょう。