コラム11

行き過ぎた個人情報保護【第五回】

2010.03.01

困ったことがあったとき自分の力で行政や地域の人たちに相談して物事を解決できる人が住み慣れた街で普通に暮していくことはたやすいものです。しかし、知的障がいがあったり、認知症があったり、人との接触がとても苦手であったりするために地域で孤立している人にとって、何かあった場合に助けを求めたくても相談できる人がいない、どこに相談したらよいか判らない、そもそも相談することすら思いつかない・・・等といった理由で自らの非常事態を地域の人に伝えることができず場合によっては本人の生存に関わる問題に発展しかねません。無縁社会が広がる中このようなことが起きない地域をつくろうとする動きが出てくることも当然といえば当然ですし、地域の側からすると行政からの積極的な情報提供がなければ住み慣れた街で普通に暮せるような地域づくりなんかできないという声が上がることもまた当然かもしれません。

しかし、一人暮らしの高齢者であること、認知症であること、知的障害者であること、服薬管理が必要であること・・等々、これらの情報は紛れもなく個人情報であり、しかもプライバシーに関する情報でもあります。このようなプライバシーに関する情報は、本人からすると他人に知られたくないと思われる情報で、個人情報の中核部分だといってもよい情報なのです。ということで、これらの情報は行政機関や医療機関等にとって原則として第三者提供できない情報ということになります。察しの良い方はお気付きでしょうが、原則という以上例外があるということが大切なところです。次回は、この例外について考えてみることにしましょう。