社協茶論Shakyo Salon

暮らしの行間を大切に(R5.5.20)

門司出身の岡村麻衣子さんは”町の法律家”司法書士です。快活な話しぶりとは違って「人付き合いは苦手な方」と語るお仕事や暮らしぶりを伺いました。
【profile 岡村麻衣子 氏(おかむらまいこ)】
北九州市門司区生まれ。やりみず司法書士事務所(北九州市小倉北区緑ヶ丘2丁目7番22号1F)在籍。パートナーである鑓水裕介氏と2011年より共同経営。

●「つながる」大切さ

ーーー 司法書士を目指したきっかけは何ですか?

自分の家族のためになる法律の知識が得られればいいなと思って司法書士を目指しました。実家が田舎なので、農地などを相続しても困らない様に(笑)いま、私の案件でも不動産登記が一番多いのですが、実は一番時間を割くのが成年後見業務です。
成年後見人は高齢者や障がい者の財産管理や、ご本人の入退院、施設の入所手続き等の「身上監護」を業務としています。最近では社会福祉士やケアマネジャーからの相談が増えました。一人暮らしをされている方の中には、経済的衛生的に生活環境が整っていない方や他人との関りを一切拒絶する方など、対応が困難な案件に直面することがあります。
現実の厳しさを目の当たりにして一人では心が折れそうになりますが、社会福祉協議会(社協)やケアマネジャー、社会福祉士等の福祉関係者とチームを組むと大変心強く、現場における福祉関係者のメンタルの強さには本当に毎回頭が下がります。市社協権利擁護・市民後見センターの運用委員会委員を任されてからも、社協は後見制度の“最後の砦”だと痛感しています。これからの超高齢化社会では、そんな福祉関係者や民生委員など周囲とつながることが大切ですね。
また、地域や周りとコミュニケーションがよく取れている人は高齢でも元気なように見えます。実は人づきあいは苦手な方ですが、暮らしの場であるコミュニティでもなるべく元気に挨拶、笑顔で会釈を心がけています。

 

 

●心を潤す時間の確保

――― そんな厳しいお仕事と子育てを両立しているそうですね。気分転換はどうされていますか?

とてもありがたいことに、同居している義母に何かと手伝ってもらっています。突然始まった家族の闘病や仕事と育児による多忙など家族それぞれの事情をきっかけに、その都度住む場所や働く環境を変えて、現在の同居という形に落ち着きました。だから、介護など先々の予測は大切でも、事前に準備するのは現実的に
難しいというのが私の実感です。これからも困難に直面するたび、家族で最善の策を考えながら暮らし方を変えていくしかないと思っています。
ふだんの生活で大切にしていることは、“自分の時間の確保”です。子育て世代は丸一日休めません。私は細切れのわずかな時間を趣味の読書に費やして心の糧にしています。仕事や家事の合間にコーヒーを買って車の中でオーディオブックを聴く時間。お気に入りの作家村上春樹や平野啓一郎をコーヒーと共に一行一行味わう幸福感。どんなに疲れていても私には無くてはならない大切なひとときです。

 

■ちょっとひとこと■

「彼女は司法書士としての仕事を始めた時から、成年後見業務に対して積極的でした。また、登記業務や裁判関係業務においても柔軟な対応で依頼者の方々に接しており、悩みながらも日々楽しく働いております。」(やりみず司法書士事務所 鑓水さん)

 

参照)
北九州市社会福祉協議会生活支援部権利擁護課(権利擁護・市民後見センター)
https://kitaq-shakyo.or.jp/consul/consul-elderly/kenriyogokoken/