社協茶論Shakyo Salon

だれもが楽しめる空間を創っていきたい(R6.9.27)

八幡東区に障がい者の就労支援と地域コミュニティ活動を行うNPO法人を起ちあげて15年。いまや8本もの多彩なプロジェクトを同時進行させている小橋さん。まさにバリアフリーを体現する地道な活動の先には、若者の感性と結びついた明るい未来が見えているようです。

【profile 小橋祐子氏(こばしゆうこ)】
北九州市八幡東区生まれ。NPO法人わくわーく理事長、精神保健福祉士、社会福祉士。 障がい者就労継続支援B型・自立訓練施設である障がい者福祉サービス事務所「BOCCHI」運営。エプソン販売株式会社と共同で古紙回収・再生する「カミクル」、着物を解いてアップサイクルする「シルクル」、利用者が遠隔操作で受付業務などの作業ができる「オリヒメ」等々の「Be Happy プロジェクト」を2022年度より始め、目まぐるしい日々を送っている。

●ご縁で始まった“部活動のように働く”楽しさ
――― 福祉の仕事を始めたきっかけは? 

一般企業に勤めた後、子育て中にパートの仕事探しで偶然出会ったことがきっかけです。
福祉の勉強も、精神に障がいをもつひとと関わったこともなかったけれど、彼らと共に簡単な事務と配達業務で働くことはとても楽しく充実していました。
でも、当時、精神障がいは福祉ではなく医療の領域とされていて、まだ偏見がありました。
次第に社会福祉という概念が世の中に知られ始め、介護・福祉に関する法律や制度が整備されていく中、いまのスタッフたちと知り合ったのです。
副作用がある派手な色の劇薬をご飯のように飲まなくてはならなかった人たちが、身体に優しい薬が出始めて守られるように時代も変わっていきました。
そうして、私たちは「障がいをもつ人も一緒に過ごせる居場所を作ろう」とNPO法人を起ち上げました。
就労・生活支援の障がい福祉サービス事業所「BOCCHI」は私たちなりに順調に運営してこられましたが、制度が整うと新たな悩みも生まれました。あくまでも“運営者はサービス提供者”であり、作業所で働く“利用者はお客様”と、法律によって“評価を伴う仕事”と意味づけされたからです。それまでの一緒くたになって楽しく働く関係性が変わったのは、当たり前のことですが少し寂しかったですね。


●チャレンジしたい人を大募集中!
――― 環境に優しい活動は多岐にわたっていますね

おかげさまで、いまは事業を担う人が全然足りなくて困っています。ポテンシャルも高くて注文も絶えないのに、「BOCCHI」の利用者が少し減っているから、とってももったいない。そこで、初めて事業ごとの求人募集をしようと考えています。
しかも、九州職業能力開発大学の学生たちが授業の一環で平野の「ココクル」を空間デザイン、設計・施工してくれることになり、とっても楽しみです。
北九州市産の木材「KiTAQ WOOD」を手がける5者から寄付される資材を使って若者が仕掛ける空間は、きっと故郷の資源を活かしたモデルルームになるはずです。
これからも、私たちは単に障がい云々の施設として利用者を閉じ込める気はまったくなく、地元の人でも誰でも、さまざまなことにチャレンジできる場・コミュニティとして、ここを提供したいのです。めざすのは、働く人や集う人たちすべてが楽しめる空間です。
そのためにも、NPO法人として広く賛同してもらえるよう活動し続けて、共感者や一緒に活動する仲間をどんどん増やそうと意気込んでいるところです。
幸い、地域ごとにある社会福祉協議会はさまざまな活動を連携させることが得意です。社協と私たちNPO団体が協同して取り組めることはたくさんあると思います。
先々を悩みすぎず、一歩ずつワクワクするつながりを大切に、これからも頑張るので応援してください。

■ちょっとひとこと■   
小橋さんは、”可動式リクライニング機能付きソファ”のようです。とても座り心地がよく、機能性も高く、どのような案件にもとても柔軟に対応されている素敵な方です。
結(むすび)マルシェ 平島さん
※結マルシェは、毎週水曜日に開催

参照) NPO法人わくわーく 
北九州市八幡東区平野1丁目3番2号 https://www.wakuwa-ku.com/