社協茶論Shakyo Salon
たっぷりの愛情が子育ての肝(R5.9.30)
●ご近所付き合いの延長が事業に
――― そもそも預かり保育を始めたきっかけは?
30年ほど前、孫の送迎をしていたとき、近所の若い母親から仕事と子育ての両立に困っていると相談されました。近所付き合いの延長で“自分ごとのついでに”子どもたちの送迎ボランティアを始めたらどんどん増えて、とうとう皆さんお互いの子どもたちを私の家で面倒をみるようになりました。自由に出入りできるように私の自宅の鍵をそれぞれに貸したり、保健所への支払いは私が自腹を切ったりなどで大変でしたよ(笑)
そうして自宅が手狭になった頃、紹介された北方の空き物件に場所を移すと、現在のNPO活動の原型ができました。北九州市が『ほっと子育てふれあいセンター』を立ち上げる前です。
その頃、役所の勉強会に参加していて、何かと規制が多い行政に縛られたくなくて「安心して子育てできて、相談もできる場所を作りたい」と、このNPO法人を作りました。
病児保育などもできるよう保健士や看護師、管理栄養士などの資格をもった人はもちろんですが、資格をもってない人には短期研修など講座を受けてスタッフになってもらい、現在は総勢40名ほどです。親の介護や子育てなどスタッフにもそれぞれ事情があるので、無理しないように毎月シフトを組んでいます。
●これからも世のため人のため
――― ママたちだけではなく公的機関などからの信頼も厚いようですね
10年前、魚町に事務所を構えたのは、北九州市の第3セクター『まちづくり応援団』から「街中で子育てを手伝ってほしい」と請われたからでした。当時は子育て中の親が自立できるように講座などをよく開催していました。近年は仲間作りが苦手な人が増えたように思えます。
子育て中に孤立していると考え込んでしまい、かつ周囲に苦しい心情を吐露できないのか、ここへ相談にいらっしゃる人が増えました。私たちも心や生活に余裕がなくなっている人をサポートしたいのですが、すべてをカバーできるわけではなく、役所の子育て相談部門などを紹介しても敷居が高いのか足を向けない人がほとんどです。社協さんも含め、行政にもより一層がんばってもらいたいですね。
幼い頃にしっかり愛情をもって接してもらった子は非行に走らないと、自信をもっていえます。どんなに忙しい親でも周囲のさまざまな力を借りながら、愛情をたっぷり注いで子育てすれば必ず愛情は伝わると、この30年間を通じて実感しています。
そうして運営の引き継ぎも考えるようになりましたが、この国が困っている少子化対策に私たちなりに貢献したいと思う気持ちは今も昔も変わらず忙しく過ごしています。
■ちょっとひとこと■
『ママトモ魚町』さんの存在によって、買い物や美容院、病院などで来られるお母さま方に魚町銀天街がより便利になり、まちの活性化につながっています。今後も『ママトモ魚町』さんのご利用とともに魚町へ足を運んでほしいと思います。
中屋興産株式会社 代表取締役・魚町商店街振興組合 理事長 梯 輝元さん
参照)
NPO法人 チャイルドケアサポートセンター https://childcare-csc.jimdofree.com/
ママトモ魚町 mamatomo-csc.jimdofree.com