社協茶論Shakyo Salon
木町でゆるりほっこりの暮らしづくり(R5.11.30)
●だれもが共に食事を楽しめる空間を
――― 支援事業を始めたきっかけは?
私のような、障害のある子どもをもつ親たちが案じるのは“子どもの将来”です。自分たち親がいなくても子どもが生活していけるようにと、会員に声をかけてグループホームを立ち上げました。でも、一般就労で、思うように働けなくなった利用者が出てきました。そこで、“障害をもつ当事者が自ら運営していけるカフェ”があればと模索してできたのが、このカフェです。どなたでも利用できるよう「木町マルシェ」も始め、地域の皆様に応援していただき、これがキッチン&マルシェ『木町家』の誕生に繋がりました。
店のコンセプトはテーブルマットに描いているとおり、「わが子に食べさせたい安心安全なものを真心込めて作り、美味しく味わってほしい」。私たちが目指しているのは“家庭的な雰囲気”、「食の専門家と障害者のある人がコラボして働いている」美味しいカフェです。健常者と障害のある人も一緒に働けるということを知ってほしくて続けています。
障害を持つ本人やご家族は外食をしづらいのが現状です。彼らが気を遣って過ごしているのを見過ごせず、肩身の狭い思いをしている人たちに『木町家』で外食を楽しんでもらいながら、同じ空間で過ごす健常者の方々にも彼らのことをもっと知ってほしいと思っています。
●巧まずして自然な交流ができる機会づくりを
――― 外観や内装と同じようにスタッフやサービスに温もりが感じられるカフェですね
障害のある人の支援は、不安をできるだけ無くすように私たちは常日頃から苦心しています。カフェの「積木のオーダー」もその一つです。障害者が力を発揮できるシステムを作り、健常者が障害者寄りに受けるサービスを作ろうと職員が発案しました。他人と交流することが苦手な人でもオーダーのシステムを説明できますし、識字や重度の障害を持つ人でもメニューを頼めるようにメニューの絵とテーブル上の積木がマッチするように視覚的に工夫しました。年齢や性別の区別なく、皆が一緒に楽しめることが一番ですよね。これからは、まちづくりの一環として、もっと障害者のことを知ってもらえるよう、お互いを知る機会を作りたいですね。食後に映画を観る『木町映画祭』も開催しました。今も障害者や高齢者に拘らない映画上映や企画をいろいろ考えているところです。美味しいパンや食事もSNSで紹介しているので是非ご覧ください。
写真左が林さん、写真右はメニューの聞き取りを積み木で行うアイデアを考えた島田さん
■ちょっとひとこと■
nest理事長の林さんは、高いアンテナと抜群の行動力の持ち主で、それが新たな連携先や協力者を見つけることにつながっているように思います。
また、当事者の母親でもあるということで、現在、親亡き後の問題が喫緊の課題となっているようです。
そのような中、日本財団からの助成を受け、意思決定支援者の養成に向けた仕組みづくりなどにも取り組んでいますが、ボランティアに頼らざるを得ない現状を憂慮されています。
最後になりましたが、nestは木町家というカフェ(B型作業所)を南小倉駅近くで行っております。お近くに来られた際には障害当事者の働きぶりも見ていただけば良いのではないかと思っています
法律事務所nest 弁護士 河原一雅 氏
参照)
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