社協茶論Shakyo Salon
ものづくりで笑顔あふれる暮らしを(R5.7.15)
●伝えたい”ものづくり”の楽しさ
――― 地元企業を早期退職して、絵画やデザイン、店舗経営の指導などさまざまな分野でご活躍ですね
会社を辞めるとき、これからは自分の好きなことをしようと決めました。
以来、デザインによる次世代の育成、まちづくり、作品づくり、障害者支援の4つを私なりに楽しんで続けています。
私には難発性吃音という障がいがあります。子どもの頃から自分の気持ちを伝えたいのに上手く発声できないので、絵を描いたり作ったりしてきました。
退職後、市内各所のデイサービスや教室で水彩画などを教えて20年以上になりますが、生徒数は今も老若男女約300人です。
あるとき、「教えるために上手く話せなくてもいい」と気づいたら、とても楽になり、さらに面白くなりました。
また、障がい者支援はとても難しいと思えたので、自分ができる範囲でやっていこうと「社会福祉法人 北九州市手をつなぐ育成会」で絵の審査員をしたり、障がい者支援の自立支援施設では個性を引き出すお手伝いなどもしたりしています。たとえば、小学校の特別学級で簡単な原理で動くものを飛ばしたり動かしたりして「ものづくりの楽しさ」を伝えると、子どもたちはとても喜び、興味も広がるようです。
この街の長所は「ものづくり」なのだから、臆せず、もっとどんどんアピールして、さまざまなものづくりを通して子どもたちの可能性を引き出し、明るい未来を想像させたいと思っています。
- 次代を担う若いひとを助けてほしい
――― いまの社会福祉行政にご要望はありますか
「障がいは個性」です。障がい児の親御さんが故郷の関東に戻らず、育ての地・北九州に止まることを決意したほど、当地は全国的に障がい者支援に長けている自治体ですが、あまり知られていません。令和のいま、「孤立している若く健康な人」の障がいが問題になっているのは周知の事実です。将来を見通せず不安の沼に陥っている「若い健全な人が健全に生きるために、どうすればいいのか」を社会福祉協議会にも、もっと突き詰めて考えて欲しい。他者を思いやり、「障がい」の意味を考え直すべき時代なのです。
たとえば、今年でちょうど20年になる京町銀天街のアーケードに川柳を掲げる催しは口コミで広がって、近年は全国から3〜4万件の応募があります。自分たちで面白いことをしていると、面白そうだなとだんだん人が集まってくるものです。生まれも育ちも違う人に100%伝わることはあり得ないことを踏まえた上で、広く共感を持ってもらえるように、五感を駆使して伝えるように努力すれば、もっとよりよい仕組みづくりができるのではないでしょうか。
■ちょっとひとこと■
松岡先生は笑顔がとても素敵な先生です。その笑顔で描かれる作品は温もりがあり、周りの人をほっこりとさせてくれます。高齢者地域交流支援通所事業の利用者みんなも先生のプログラムを心待ちにしており、1時間あっという間です。
北九州市社会福祉協議会 生活支援部 貞島瑠美